1. プロジェクト概要

背景と目的

RBF（Revenue-Based Financing）事業は、売上連動型の資金調達サービスとして展開を計画しています。

将来債権の買取（売上連動RBF）モデルで、「貸付」ではなくリテンション施策として位置づけています。

フェーズ戦略

フェーズ1

目標：母数確保

  • 最小限のシステム開発
  • 手運用中心
  • 運用方針の言語化
  • パラメータの仮置き

フェーズ2

目標：自動化・高度化

  • フェーズ1で得た知見を元に自動化
  • 業務フローがフェーズ1と大きく異なる前提
  • スコアリング・ワークフロー化
  • モニタリングとパラメータ自動チューニング

合宿までに決める項目（優先）

2. サービス定義・価値提案

サービス価値提案図

graph TD Center[RBF事業
売上連動型資金調達] --> Customer[顧客メリット] Center --> Company[当社メリット] Center --> Market[市場ポジショニング] Customer --> C1[数日で資金化
迅速な調達] Customer --> C2[売上連動返済
負担軽減] Customer --> C3[希薄化なし
エクイティ不要] Company --> Co1[手数料収益
新規Fintech収益] Company --> Co2[加盟店定着
チャーン防止] Company --> Co3[データ活用
顧客基盤活用] Market --> M1[銀行が取れない層
データ与信で開拓] Market --> M2[ファクタリングより高収益
LTV最大化] Market --> M3[大きなTAM
エクイティ不要/不適
中小企業群] Market --> M4[高い参入障壁
顧客基盤×データ
×回収インフラ] style Center fill:#0066cc,stroke:#004c99,color:#fff style Customer fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style Company fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style Market fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style C1 fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style C2 fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style C3 fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style Co1 fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style Co2 fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style Co3 fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style M1 fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style M2 fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style M3 fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style M4 fill:#fff2cc,stroke:#d6b656
図9: サービス価値提案図（顧客メリット/当社メリット/市場ポジショニング）

サービスモデル

項目 内容
モデル 将来債権の買取（売上連動RBF）。「貸付」ではなくリテンション施策として位置づけ
ターゲット 年商5,000万〜5億の成長企業で銀行与信が通りにくい層。サブスクペイ利用者（利用歴6ヶ月・月商10万以上）
市場/TAM VCより広い中小企業群、決算与信が通らない成長企業
優位性 決済で獲得済み顧客基盤 × リアルタイム売上データ × 自動回収インフラ。スイッチングコスト（決済切替リスク）が担保代替

顧客メリット

  • 数日で資金化：迅速な資金調達が可能
  • 売上連動の柔軟返済：売上に応じた返済で負担が軽減
  • 希薄化なし：エクイティファイナンスと異なり、株式希薄化がない

当社メリット

  • 手数料収益：新規Fintech収益源の創出
  • 加盟店定着：チャーン防止、売上拡大によるリテンション向上
  • データ活用：既存顧客基盤とリアルタイムデータの活用

収益モデル

graph TD A[貸付額 L
過去3ヶ月売上平均×1ヶ月
例: 100万円] --> B[返済義務額
L + 手数料12%
= L × 1.12
例: 112万円] B --> C[手数料収入
L × 12%
例: 12万円] C --> D{保証利用有無} D -->|保証利用時| E[保証料負担
手数料のうち最大6%
例: 6万円] D -->|保証未利用時| F[保証料負担なし
0円] E --> G[純収益
手数料 - 保証料
例: 6万円] F --> H[純収益
手数料全額
例: 12万円] G --> I[収益確定] H --> I style A fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style B fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style C fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style D fill:#e1d5e7,stroke:#9673a6 style E fill:#f8cecc,stroke:#b85450 style F fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style G fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style H fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style I fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf
図7: 収益モデル（貸付額→手数料→保証料→純収益の流れ）

収益構造の説明

  • 貸付額（L）: 過去3ヶ月売上平均 × 1ヶ月分（例：100万円）
  • 返済義務額: 貸付額 + 手数料12% = L × 1.12（例：112万円）
  • 手数料収入: 貸付額の12%（例：12万円）
  • 保証料負担: 保証利用時は手数料のうち最大6%を負担（例：6万円）
  • 純収益: 手数料 - 保証料
    • 保証利用時：12万円 - 6万円 = 6万円
    • 保証未利用時：12万円（全額）

収益性のポイント

  • 保証利用時でも手数料の50%（6%）は純収益として確保
  • 保証未利用時は手数料全額（12%）が純収益
  • リスク管理と収益性のバランスを保証スキームで調整

提供条件（営業目安）

項目 内容 備考
提供額 月商1ヶ月分目安（実務10〜500万円帯中心） Web表記は直近売上1〜2ヶ月分・上限1,000万円
手数料 固定手数料方式、典型10〜12%前後 Web表記5〜15%
返済方式 売上の5〜20%を自動返済、半年で売上の15〜20%程度を返すイメージ 返済期間3〜9ヶ月が多く、表記は3〜12ヶ月（売上連動で確定期間なし）
審査 サブスクペイ利用歴6ヶ月以上、過去チャージバック率が基準以下 フェーズ1は手運用中心

3. フェーズ別計画

フェーズ1（手運用中心）

フェーズ1の特徴

  • 目標：母数確保
  • 運用方針：最小限のシステム開発で手運用中心

フェーズ2（自動化・高度化）

フェーズ2の特徴

  • 目標：自動化・高度化によるスケール
  • 前提：フェーズ1で得た知見を元に、業務フローがフェーズ1と大きく異なる前提

フェーズ1/フェーズ2の業務フロー比較

フェーズ1業務フロー（手運用中心）

graph TD A[営業] --> B{足切りチェック
営業前に判断} B -->|NG| C[説明して終了] B -->|OK| D[見積算定
過去3ヶ月売上平均×1ヶ月] D --> E[提示
6ヶ月/最大9ヶ月] E --> F[社内審査] E --> G[保証審査] F --> H{両方通過?} G --> H H -->|NG| I[不通過・終了] H -->|OK| J[受注/契約] J --> K[貸付実行] K --> L[回収
6ヶ月返済/手数料12%] L --> M[完了]
図1: フェーズ1業務フロー（手運用中心）

フェーズ2業務フロー（自動化・高度化）

graph TD A[営業
Web申請等] --> B[自動見積算定
パラメータ化・ダッシュボード] B --> C[自動提示
6ヶ月/最大9ヶ月] C --> D[自動足切り・スコアリング
データ自動取得・スコア閾値判定] D -->|NG| E[自動通知
説明して終了] D -->|OK| F[自動契約・与信プロセス
ワークフロー化・ログ・監査証跡] D -->|OK| G[保証会社連携
審査提出と同時
カードアクワイアラと連携] F --> H{両方通過?} G --> H H -->|NG| I[不通過・終了] H -->|OK| J[自動契約締結] J --> K[自動貸付実行] K --> L[自動回収
サブスクペイ精算から相殺
6ヶ月返済/手数料12%] L --> M[モニタリング・自動チューニング
運用データ分析・パラメータ調整] M --> N[完了] style A fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style B fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style C fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style D fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style E fill:#f8cecc,stroke:#b85450 style F fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style G fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style H fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style I fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style J fill:#e1d5e7,stroke:#9673a6 style K fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf
図2: フェーズ2業務フロー（自動化・高度化）

色分けの凡例

  • 自動化箇所（緑）: システムで自動処理される部分
  • 手動連携箇所（黄）: 外部システムとの手動連携が必要
  • モニタリング（紫）: データ分析・パラメータ調整
  • 開始・終了（青）: フローの開始・終了点

フェーズ1との主な違い

  • 営業: Web申請等で一部自動化
  • 見積算定: 自動化（パラメータ化・ダッシュボード化）
  • 足切りチェック: 自動足切り・スコアリングに置き換え（データ自動取得・スコア閾値判定）
  • 社内審査: 自動契約・与信プロセスに置き換え（ワークフロー化・ログ・監査証跡）
  • 保証会社連携: 審査提出と同時に、カードアクワイアラと連携（手動連携）
  • 回収: 自動化（サブスクペイ精算から相殺する仕組み）
  • モニタリング: 運用データのモニタリングとパラメータ自動チューニングを追加

フェーズ1/フェーズ2機能比較マトリクス

機能 フェーズ1 フェーズ2 備考
営業 手作業 一部自動化
Web申請等		 フェーズ2でWeb申請を導入
見積算定 手作業
過去3ヶ月売上平均×1ヶ月		 自動化
パラメータ化・ダッシュボード化		 フェーズ2で完全自動化
提示 手作業
6ヶ月/最大9ヶ月		 自動化
自動提示		 フェーズ2で自動提示
足切りチェック 手作業
閾値判定		 自動化
自動足切り・スコアリング
データ自動取得・スコア閾値判定		 フェーズ2でスコアリング化
社内審査 手作業
社内審査		 自動化
自動契約・与信プロセス
ワークフロー化・ログ・監査証跡		 フェーズ2でワークフロー化
保証会社連携 手作業
手動依頼		 一部自動化
自動判定・自動申請トリガー
（手動連携あり）		 フェーズ2で自動判定を追加
貸付実行 手作業 自動化
自動貸付実行		 フェーズ2で完全自動化
回収 手作業
6ヶ月返済/手数料12%		 自動化
サブスクペイ精算から相殺		 フェーズ2で自動回収
モニタリング 未対応 自動化
運用データ分析・パラメータ自動チューニング		 フェーズ2で新規追加
表1: フェーズ1/フェーズ2機能比較マトリクス（手作業/自動化の切り分け）

凡例

  • 手作業: フェーズ1で手作業中心
  • 自動化: フェーズ2で完全自動化
  • 一部自動化: フェーズ2で一部自動化（手動連携あり）
  • 未対応: フェーズ1では未対応、フェーズ2で新規追加

4. パラメータ・ロジック

基本パラメータ（フェーズ1確定版）

貸付額（L）の定義

L = (S₋₃ + S₋₂ + S₋₁) / 3

変数の説明：

  • L: 貸付額（Loan amount）
  • S₋₃: 3ヶ月前の売上
  • S₋₂: 2ヶ月前の売上
  • S₋₁: 1ヶ月前の売上

計算方法：過去3ヶ月の売上の平均値を計算し、それを1ヶ月分の貸付額とします。

例：過去3ヶ月の売上が120万円、100万円、80万円の場合、L = (120 + 100 + 80) / 3 = 100万円となります。

項目 値 備考
貸付額算定方法 過去3ヶ月平均売上 × 1ヶ月分 フェーズ1は固定ロジック。減少トレンドは足切りで除外
返済期間（初回提示） 6ヶ月 営業交渉で最大9ヶ月まで延伸可能
返済期間（最大） 9ヶ月 顧客反応と安江さんの意見を踏まえて決定
手数料率 12% POC期間の料率。相場8〜12%の中で決定予定
返済義務額 貸付額 + 手数料（12%） 貸付額Lの場合、返済義務 = L + 0.12L = 1.12L

返済イメージ（貸付額1,000万円の場合）

項目 金額 備考
貸付額（L） 1,000万円 過去3ヶ月売上平均×1ヶ月分
手数料（12%） 120万円 貸付額の12%
返済義務額 1,120万円 貸付額 + 手数料
返済スケジュール
6ヶ月返済（標準）
月次返済額 返済回数
約186.7万円/月 6回

1,120万円 ÷ 6ヶ月 = 186.67万円/月

9ヶ月返済（最大）
月次返済額 返済回数
約124.4万円/月 9回

1,120万円 ÷ 9ヶ月 = 124.44万円/月

注意：実際の返済は売上連動型のため、月次返済額は変動します。上記は均等返済の場合の目安です。

足切りロジックパラメータ

3ヶ月平均の定義と計算方法

3ヶ月平均 = (S₋₃ + S₋₂ + S₋₁) / 3
直前期比減少率 = (3ヶ月平均₀ - 3ヶ月平均₋₁) / 3ヶ月平均₋₁ × 100%

変数の説明：

  • S₋₃: 3ヶ月前の売上
  • S₋₂: 2ヶ月前の売上
  • S₋₁: 1ヶ月前の売上
  • 3ヶ月平均₀: 現在時点の過去3ヶ月平均
  • 3ヶ月平均₋₁: 前回時点の過去3ヶ月平均

計算例：

時点tでの3ヶ月平均 = (t-3ヶ月目の売上 + t-2ヶ月目の売上 + t-1ヶ月目の売上) / 3

例：4月時点で、1月=100万円、2月=90万円、3月=80万円の場合

3ヶ月平均 = (100 + 90 + 80) / 3 = 90万円

前回（3月時点）の3ヶ月平均が120万円だった場合、直前期比減少率 = (90 - 120) / 120 × 100% = -25%

graph TD A[時系列の売上データ] --> B[過去3ヶ月の売上を取得] B --> C[S₋₃: 3ヶ月前の売上] B --> D[S₋₂: 2ヶ月前の売上] B --> E[S₋₁: 1ヶ月前の売上] C --> F[3ヶ月平均計算
MA = S₋₃ + S₋₂ + S₋₁ / 3] D --> F E --> F F --> G[前回の3ヶ月平均と比較] G --> H{直前期比減少率
▲25%超?} H -->|Yes| I[NG: 足切り] H -->|No| J[OK: 審査継続] style A fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style B fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style F fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style G fill:#e1d5e7,stroke:#9673a6 style H fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style I fill:#f8cecc,stroke:#b85450 style J fill:#d5e8d4,stroke:#82b366
図: 3ヶ月平均の計算フロー

3ヶ月平均のイメージ図

時系列での3ヶ月平均の推移：

時点 3ヶ月前 2ヶ月前 1ヶ月前 3ヶ月平均 前回比
1月 100万円 110万円 120万円 110万円 -
2月 110万円 120万円 100万円 110万円 0%
3月 120万円 100万円 90万円 103.3万円 -6.1%
4月 100万円 90万円 80万円 90万円 -12.9%
5月 90万円 80万円 70万円 80万円 -11.1%
6月 80万円 70万円 60万円 70万円 -12.5%

説明：3ヶ月平均は過去3ヶ月の売上の平均値を計算します。時点が進むごとに、最も古い月を外して新しい月を加えて計算します。直前期比は前回の3ヶ月平均と比較して減少率を計算します。現行パターンでは、この減少率が▲25%を超えると足切りとなります。

足切り判定フロー（3パターン比較）

graph TD Start[売上データ入力
直近売上系列・決済額] --> Check1[3ヶ月平均チェック] Check1 --> Check2[前月比チェック] Check2 --> Check3[決済額下限チェック] Check3 --> Result{全チェック通過?} Result -->|Yes| OK[OK: 審査へ] Result -->|No| NG[NG: 提供不可] Check1 -->|保守パターン| C1_1[▲23%超でNG] Check1 -->|現行パターン| C1_2[▲25%超でNG] Check1 -->|攻めパターン| C1_3[▲30%超でNG] Check2 -->|保守パターン| C2_1[▲12%以上×2ヶ月でNG] Check2 -->|現行パターン| C2_2[▲15%以上×2ヶ月でNG] Check2 -->|攻めパターン| C2_3[▲18%以上×2ヶ月でNG] Check3 -->|保守パターン| C3_1[55万円/月未満でNG] Check3 -->|現行パターン| C3_2[50万円/月未満でNG] Check3 -->|攻めパターン| C3_3[45万円/月未満でNG] style Start fill:#e1d5e7,stroke:#9673a6 style Check1 fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style Check2 fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style Check3 fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style Result fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style OK fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style NG fill:#f8cecc,stroke:#b85450 style C1_1 fill:#fff3cd,stroke:#ffc107 style C1_2 fill:#d1ecf1,stroke:#17a2b8 style C1_3 fill:#f8d7da,stroke:#dc3545 style C2_1 fill:#fff3cd,stroke:#ffc107 style C2_2 fill:#d1ecf1,stroke:#17a2b8 style C2_3 fill:#f8d7da,stroke:#dc3545 style C3_1 fill:#fff3cd,stroke:#ffc107 style C3_2 fill:#d1ecf1,stroke:#17a2b8 style C3_3 fill:#f8d7da,stroke:#dc3545
図4: 足切り判定フロー（保守/現行/攻めの3パターン比較）

パターン別の閾値比較

判定項目 保守パターン 現行パターン（採用） 攻めパターン
3ヶ月平均減少率 ▲23%超 ▲25%超 ▲30%超
前月比減少（連続） ▲12%以上×2ヶ月 ▲15%以上×2ヶ月 ▲18%以上×2ヶ月
決済額下限 55万円/月未満 50万円/月未満 45万円/月未満

パターン別の特徴

  • 保守パターン（黄）: 早期止め重視、売上減少率(r)=10〜15%の緩やかな下落でも3〜6ヶ月で止められる想定。却下増リスクあり。
  • 現行パターン（青）: バランス型（採用）。売上減少率(r)=10%は発火せず、売上減少率(r)=15%で6ヶ月、売上減少率(r)=20%以上は3〜5ヶ月で発火。6ヶ月返済での回収余地を確保。
  • 攻めパターン（赤）: 母数拡大重視、売上減少率(r)=20〜25%でも走る可能性。母数拡大だが、回収モニタリング強化が前提。

パターン別の特徴

  • 保守パターン（黄）: ▲23% / ▲12%×2 / 55万円 - 早期止め重視、却下増リスク
  • 現行パターン（青）: ▲25% / ▲15%×2 / 50万円 - バランス型（採用）
  • 攻めパターン（赤）: ▲30% / ▲18%×2 / 45万円 - 母数拡大重視、モニタリング強化必須

現行パターン 採用

判定項目 閾値 判定タイミング 備考
移動平均減少率 過去3ヶ月平均が直前期比▲25%超 審査前 売上▲30%継続を想定し、少し手前でストップ
前月比減少（連続） 前月比▲15%以上が2ヶ月連続 審査前 下落トレンドの早期検知
決済額下限 50万円/月未満 審査前 オペレーション負荷を踏まえた下限

採用理由

  • 売上減少率(r)=10%は発火せず、売上減少率(r)=15%で6ヶ月、売上減少率(r)=20%以上は3〜5ヶ月で発火
  • 6ヶ月返済での回収余地を確保できるバランス

オプションパターン

保守パターン（早期止め重視）

  • 3ヶ月平均：▲23%超
  • 前月比：▲12%以上×2ヶ月
  • 決済下限：55万円/月未満

想定：売上減少率(r)=10〜15%の緩やかな下落でも3〜6ヶ月で止められる想定。却下増リスクあり。

攻めパターン（母数拡大重視）

  • 3ヶ月平均：▲30%超
  • 前月比：▲18%以上×2ヶ月
  • 決済下限：45万円/月未満

想定：売上減少率(r)=20〜25%でも走る可能性。母数拡大だが、回収モニタリング強化が前提。

売上減少シミュレーション

売上減少率(r)の定義

r = (S₀ - Sₜ) / S₀ × 100%

変数の説明：

  • S₀: 貸し出し時売上（基準時点の売上）
  • Sₜ: tヶ月後の売上
  • r: 売上減少率（%）
  • t: 経過月数

計算方法：毎月r%減少する場合、tヶ月後の売上は以下のように計算します。

1ヶ月後: S₁ = S₀ × (1 - r/100)

2ヶ月後: S₂ = S₁ × (1 - r/100) = S₀ × (1 - r/100) × (1 - r/100)

3ヶ月後: S₃ = S₂ × (1 - r/100) = S₀ × (1 - r/100) × (1 - r/100) × (1 - r/100)

一般化: tヶ月後 = S₀ × (1 - r/100) × (1 - r/100) × ... × (1 - r/100) [t回]

具体例：貸し出し時売上S₀=100万円、毎月r=20%減少する場合

  • 1ヶ月後: 100 × 0.8 = 80万円
  • 2ヶ月後: 80 × 0.8 = 64万円
  • 3ヶ月後: 64 × 0.8 = 51.2万円

売上減少率と返済期間の倍率

図2: 売上減少率による返済期間の倍率（6ヶ月返済 vs 9ヶ月返済）
売上減少率(r) 6ヶ月返済の倍率 9ヶ月返済の倍率 評価
10% 1.23倍 1.17倍 余裕大
15% 1.35倍 1.30倍 余裕大
20% 1.48倍 1.40倍 余裕あり
25% 1.61倍 1.52倍 余裕中
30% 1.75倍 1.64倍 余裕小

説明：売上が減少すると、同じ返済額を返すために必要な期間が延びます。例えば、売上減少率が20%の場合、6ヶ月返済の場合は約1.48倍（約8.9ヶ月）、9ヶ月返済の場合は約1.40倍（約12.6ヶ月）の期間が必要になります。

5. リスク管理・保証スキーム

主要リスク

  • 信用リスク：倒産・悪化
  • 架空売上/詐欺：データの信頼性
  • 将来債権の目減り：未提供/返金による損失

三段階フィルタ

リスク管理フロー（三段階フィルタ）

graph TD Start[新規申請] --> Entry[1. 入口審査] Entry --> Entry1[定性審査
実在性/商材リスク] Entry --> Entry2[定量審査
利用歴6ヶ月以上
売上安定
CB率基準] Entry1 --> Entry3{審査結果} Entry2 --> Entry3 Entry3 -->|NG| Reject1[審査不通過] Entry3 -->|OK| Contract[契約・貸付実行] Contract --> Monitor[2. 途上モニタ
日次モニタリング] Monitor --> Monitor1[サブスクペイ決済金額
リカーリング収入を監視] Monitor1 --> Monitor2{判定} Monitor2 -->|青: ±20%内| Continue[自動継続] Monitor2 -->|黄: 変動あり| Call[架電確認] Monitor2 -->|赤: 異常検知| Freeze[凍結/保全] Continue --> Monitor Call --> Monitor Freeze --> Exit Monitor --> Exit[3. 出口] Exit --> Exit1[解約時残債チェック] Exit1 --> Exit2{残債有無} Exit2 -->|残債あり| Exit3[システム: 解約ボタン制御
運用: 残債確認
契約: 期限の利益喪失/相殺権] Exit2 -->|残債なし| Close[正常終了] Exit3 --> Close style Start fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style Entry fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style Entry1 fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style Entry2 fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style Entry3 fill:#f8cecc,stroke:#b85450 style Reject1 fill:#f8cecc,stroke:#b85450 style Contract fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style Monitor fill:#e1d5e7,stroke:#9673a6 style Monitor1 fill:#e1d5e7,stroke:#9673a6 style Monitor2 fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style Continue fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style Call fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style Freeze fill:#f8cecc,stroke:#b85450 style Exit fill:#e1d5e7,stroke:#9673a6 style Exit1 fill:#e1d5e7,stroke:#9673a6 style Exit2 fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style Exit3 fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style Close fill:#d5e8d4,stroke:#82b366
図6: リスク管理フロー（三段階フィルタ：入口審査→途上モニタ→出口）

1. 入口審査

  • 定性審査: 実在性/商材リスク
  • 定量審査: 利用歴6ヶ月以上、売上安定、CB率基準
  • 枠: 月商1ヶ月
  • 手数料: リスク×期間で決定

2. 途上モニタ

  • 監視項目: サブスクペイの決済金額（リカーリング収入）
  • 青（±20%内）: 自動継続
  • 黄（変動あり）: 架電確認
  • 赤（異常検知）: 凍結/保全

3. 出口

  • 解約時残債チェック: システムで解約ボタン制御、運用で残債確認
  • 契約条項: 期限の利益喪失/相殺権を明記
  • 残債ありの場合: 解約を制御し、残債回収を優先

保証スキームパラメータ

基本方針

項目 値 備考
保証会社候補 アイフル、クォンツ こちらからオファー条件を提示する前提
保証割合 100%希望 協議事項
保証料負担 手数料12%のうち最大6%を保証料として負担 アイフル利用時を想定
審査コスト 1件1万円（クォンツ利用時） 利用可否を金額・リスクで分岐検討

発動トリガー（素案）

発動条件

返済スケジュールを1.5倍超過しても未完済の場合

例：6ヶ月返済の場合、9ヶ月経過時点で未完済

⚠️ 要確認事項：法令適合性とスキーム要確認（弁護士確認中）

保証発動フロー

graph LR A[返済スケジュール管理] --> B[延滞検知
日次モニタリング] B --> C{1.5倍超過判定
例: 6ヶ月返済→9ヶ月経過} C -->|未超過| B C -->|超過・未完済| D[保証請求/債権移転
保証会社へ通知] D --> E[保証会社から回収
代位弁済受領] E --> F[残高精算/クローズ
債権管理終了] G[代替トリガ
検討中] -.-> C G --> G1[延滞日数X日] G --> G2[売上急減率] G --> G3[貸付額上限条件] style A fill:#dae8fc,stroke:#6c8ebf style B fill:#fff2cc,stroke:#d6b656 style C fill:#f8cecc,stroke:#b85450 style D fill:#e1d5e7,stroke:#9673a6 style E fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style F fill:#d5e8d4,stroke:#82b366 style G fill:#f8f9fa,stroke:#e0e0e0 style G1 fill:#f8f9fa,stroke:#e0e0e0 style G2 fill:#f8f9fa,stroke:#e0e0e0 style G3 fill:#f8f9fa,stroke:#e0e0e0
図5: 保証発動フロー（返済スケジュール管理から残高精算まで）

フロー説明

  1. 返済スケジュール管理: 契約時の返済スケジュールを管理
  2. 延滞検知: 日次モニタリングで延滞状況を検知
  3. 1.5倍超過判定: 返済スケジュールの1.5倍を超過しても未完済の場合に発動（例：6ヶ月返済→9ヶ月経過時点）
  4. 保証請求/債権移転: 保証会社へ通知し、保証請求または債権移転を実行
  5. 保証会社から回収: 保証会社が代位弁済を行い、当社が受領
  6. 残高精算/クローズ: 債権管理を終了し、残高を精算

代替トリガ（検討中）

  • 延滞日数X日: 一定日数の延滞で発動
  • 売上急減率: 売上の急激な減少で発動
  • 貸付額上限条件: 貸付額が一定額を超える場合に発動

注: 上記は検討中の代替案。現行は1.5倍超過トリガを採用予定（法務確認中）

保証利用方針

ケース 方針 備考
アイフル利用時 足切り後の案件（50万円以上）を原則全件保証付けで進行 手数料12%のうち最大6%を保証料として負担
クォンツ利用時 審査コスト1件1万円が発生するため、利用可否を金額・リスクで分岐 例：高額帯／高リスクのみ保証付け、その他は内部吸収またはアイフル利用

回収・保証

  • 返済精度向上のため保証会社に代位弁済請求（クオンツ/アイフル）
  • オペ慣れまでは積極利用

コンプラ/AML

  • 反社DB照合、KYC/KYB
  • 疑わしい取引検知
  • 送金先を加盟店名義に限定
  • 初期はサブスクペイ利用者に限定

7. ステータス・課題

未確定・要確認事項

  1. 返済期間の最終決定：6ヶ月（最大9ヶ月）で確定か、要確認
  2. 手数料率の最終決定：12%案で確定か、安江さんとの議論結果待ち
  3. 保証スキームの法令確認：返済スケジュール1.5倍超過トリガの可否、契約形態の適法性（弁護士確認中）
  4. 保証料負担の最終決定：6%負担案で確定か、要協議

ポジショニング

  • 銀行が取れない層：決算書与信では通らないがデータ与信で開拓可能
  • ファクタリングより高収益：継続関係でLTV最大化、単発手数料との差別化
  • TAM：エクイティ不要/不適な中小企業群が対象で市場が大きい
  • 参入障壁：既存顧客基盤とデータ・回収インフラ保有。新規参入は顧客獲得からで不利